こんにちは、毎日死に物狂いで仕事をしているNever give up nurseです。
今回は現役看護師である僕が仕事をしていると何でそうなるのか、原因は何か考えることが多くその経験から様々なことを学んだので、その学んだことを生かして看護師国家試験の問題について解説したいと思います。
今回のことが少しでも皆様のお役に立てればと思います。
問題35.成人に経鼻経管栄養法を行う際の胃管を挿入する方法で適切なのはどれか
①体位は仰臥位とする
②管が咽頭に達したら頸部を後屈する
③咳嗽が生じた場合は直ちに抜去する
④嚥下運動よりも速い速度で挿入する
答え.③
□解説
胃管を挿入する際に絶対にしてはいけないのは誤挿入(気管へ挿入すること)です。
そのため、胃管を挿入した後は胸部Ⅹ‐Pを撮影し胃へきちんと挿入されているか確認します。
①胃管を挿入する際は気管への誤挿入を防ぐために咽頭から食道がほぼ一直線になる座位、または半坐位(ファウラー位)で行います。
②頸部を後屈すると気管へ誤挿入しやすくなるため、咽頭部に達したら頸部を前屈させる必要があります。
④嚥下運動と合わせることで食道へ挿入しやすくなります。
③咳嗽がある場合は気管への誤挿入の危険性が高いため、咳嗽があった場合は一度抜去して再度挿入する必要があります。
■補足
胃管にはEDチューブやNGチューブがあり、栄養剤を注入するか、胃内容物を廃液し胃内圧を減圧するかでEDチューブを挿入するかNGチューブを挿入するか挿入する目的によって胃管が違います。
胃管を挿入する手順と注意点を説明したいと思います。
胃管を挿入する手順
1.気管への誤挿入を防ぐために患者さんを座位かファウラー位にする。
※頸部が前屈することが大切なので頸部が後屈している患者さんは枕やクッションを活用して少しでも頸部が前屈する体位にすることが大切です。
2.ガーゼに潤滑剤を取りチューブの先端に塗布する。
※潤滑剤を塗布する前にEDチューブであれば、先に少しEDチューブに水を通す必要があります。EDチューブにはワイヤーが入っているためワイヤーがすぐに取れるように水を通しておくといいです。挿入した後に通してなかったらワイヤーを取るのが大変です。
3.患者さんに嚥下をさせながらチューブを鼻孔から挿入します。
※成人の鼻孔から噴門部(胃の入り口)までの長さは大体50㎝なので50㎝+5~10㎝(55~60㎝)程度挿入する必要があります。
4.咽頭部まで挿入したら「つばを飲み込んでください。」などの声掛けを行い嚥下運動に合わせて挿入します。この時、頸部を前屈させて挿入する必要があります。
※咽頭部から先へ挿入する際は、咳嗽などが出た場合はすぐに一度抜去して挿入します。食道に入ると嚥下運動があるため、喉頭を見ていると嚥下運動があるのが分かりやすいため挿入中は喉頭部を見ているときちんと挿入できたか確認することができます。
5.口腔内でとぐろを巻いていないか口腔内を観察し胃管がきちんと挿入されているか確認します。
6.55~60㎝挿入した後に注射器で空気を10㏄程度注入し聴診器で胃泡音があるか確認します。また、胃内容物が吸引できるか注射器で吸入します。
7.挿入した長さが変わらないように胃管を仮固定(軽く固定)し胸部Ⅹ-Pを撮影し、Drに画像を確認してもらいます。
8.胃管の位置を確認した後にワイヤーを外し胃管を鼻腔と頬に固定します。
挿入するうえで大切なことは挿入する前の体位だと思います。高齢になると頸部が後屈することが多くなるため、胃管を挿入する際はきちんと座位やファウラー位にして、枕やクッションを使用して頸部を少しでも前屈することが大切です。
胃管の挿入が上手くいかない場合は、改めて体位や頸部の状態を整えて行うと上手くいくことがあると思います。