こんにちは、毎日死に物狂いで仕事をしているNever give up nurseです。
今回は現役看護師である僕が仕事をしていると何でそうなるのか、原因は何か考えることが多くその経験から様々なことを学んだので、その学んだことを生かして看護師国家試験の問題について解説したいと思います。
今回のことが少しでも皆様のお役に立てればと思います。
問題34.ノロウイルス感染を拡大させないための対応で適切なのはどれか
①感染症の居室はアルコールで拭く。
②感染者の吐物は乾燥してから処理する。
③感染者が使用したリネンは60℃の加熱処理を行う。
④感染者が使用した食器は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
答え.④
□解説
①ノロウイルスはアルコール消毒に対して抵抗性が強いと言われています。なので、アルコールではなく、より消毒力が強い次亜塩酸ナトリウムを使用し消毒するとより感染拡大を防ぐことができます。
②ノロウイルスは乾燥に強く、吐物が乾燥すると空気中にウイルスが浮遊しそのウイルスを吸い込むことで飛沫感染を起こすリスクが高いため吐物は乾燥する前に処理する必要があります。
③ノロウイルスは85~90℃で1分間以上加熱すると死滅するため、60℃ではなく85~90℃の加熱処理が必要です。
④先ほどの言った通り、ノロウイルスはアルコールに対して抵抗性が強いため次亜塩酸ナトリウムを使用し消毒する必要があります。
■補足
ノロウイルスは非常に強い感染力があり、乾燥に対しても強く乾燥してもしばらくは空気中を浮遊するためきちんと嘔吐物や便の処理をしなければ感染が拡大します。
ノロウイルスの感染経路は経口感染と接触感染、空気感染、飛沫感染があります。
まず、牡蠣などを生や加熱が不十分な状態で摂取したり、ウイルスがついている手を介して口に触れたりすると経口感染を起こします。
その後、嘔吐物や便の処理をしっかりと行わないと嘔吐物や便が乾燥し空気中にウイルスが浮遊し、そのウイルスを吸い込んで空気感染や飛沫感染を起こします。
また、嘔吐物や便の処理の後きちんと手洗いを行わないと、人の手を介してノロウイルスが他の場所に移動するため、その場所を他の人が触り接触感染を起こします。
ノロウイルスは乾燥しても20日間生存すると言われているため嘔吐物や便の処理を確実に行わないと空気中にウイルスが浮遊したり、人の手を介して様々な場所にウイルスが移動し感染がすぐに拡大します。なので、嘔吐物や便の処理がとても重要になります。
嘔吐物や便の処理
1.嘔吐物や便があった場合はすぐに近づくのではなく、マスクと使い捨て手袋2枚、使い捨てガウン、シューズカバーを装着し、次亜塩酸ナトリウムと新聞紙(紙ペーパーでも可)、ビニール袋2枚を準備します。
次亜塩酸ナトリウムは嘔吐物や便の処理の場合は0.1%濃度の次亜塩酸ナトリウムを準備する必要があります。
消毒対象 | 必要な濃度 | 原液の濃度 | 希釈倍率 | 1lの水に加えて作るのに必要な原液の量 |
便や吐物が付着した床やおむつなど | 0.1% | 5% | 50倍 | 20ml |
10% | 100倍 | 10ml | ||
衣服や器具などのつけ置きトイレの便座やドアノブ、手すりや床など | 0.02 | 5% | 250倍 | 4ml |
10% | 500倍 | 2ml |
2.嘔吐物や便の上に新聞紙(紙ペーパー)を置き、その周囲にも新聞紙を置きます。(ウイルスの拡散を防ぐためです。また、嘔吐物は広範囲に飛んでいることが多いため嘔吐物だけでなくその周囲にも新聞紙を置く必要があります)
3.次亜塩酸ナトリウム0.1%をその新聞紙の上からかけ外側から内側にかけてふき取ります。(外側から内側にすることでウイルスの拡散を防ぎます)
4.嘔吐物や便をふき取った後も同じように新聞紙を再度置き次亜塩素ナトリウム0.1%をかけて外側から内側にふき取ります。
5.ふき取った後は1枚目のビニール袋(ふき取った新聞紙が入っている)に2枚目の手袋、ガウン、シューズカバーを入れ封をし、2枚目のビニール袋に入れます。最後に1枚目の手袋を2枚目のビニール袋に入れ封をします。
6.処理の後は必ず、手洗いと手指消毒を行います。
感染拡大を防ぐためには自分自身の感染を防ぐことも大切なので、自分も含めて他の方に感染しないように嘔吐物や便の処理をし、処理した後は必ず手洗いと手指消毒をする必要があると思います。