現役看護師が解説する看護師国家試験 ⑥ステロイドについて
こんにちは、毎日死に物狂いで仕事をしているNever give up nurseです。
今回は現役看護師である僕が仕事をしていると何でそうなるのか、原因は何か考えることが多くその経験から様々なことを学んだので、その学んだことを生かして看護師国家試験の問題について解説したいと思います。
今回のことが少しでも皆様のお役に立てればと思います。
問題6.副腎皮質ステロイドの作用はどれか
①体重の減少
②血糖の低下
③血圧の低下
④免疫の促進
⑤炎症の抑制
答え.⑤
□解説
副腎皮質ステロイドは副腎で生産されています。
副腎皮質ステロイドは抗炎症作用、免疫抑制作用、抗アレルギー作用などがあります。
その他に、蛋白質を異化(アミノ酸を増加)させ糖代謝も亢進させるため高血糖や高血圧になりやすいです。
また、食欲増進作用もあり体重増加になりやすく、血を凝固させる血小板が増加しやすくなるため、血栓のリスクも高くなります。
プロスタグランジン(炎症作用)を抑制するため胃粘膜防御作用が弱くなり、胃酸分泌が増加するため消化性潰瘍になることもあります。
■補足
副腎皮質ステロイドは強力な抗炎症作用や免疫抑制作用があり臨床の場ではよく使用します。
コロナ感染による肺炎などに対しても炎症の値が高かった場合は、使用することがあります。
また、膠原病などの自己免疫疾患(自分の体を敵と勘違いし攻撃してしまう病気)に対しても免疫を抑制させ状態を安定させる時にも使用します。
ステロイドは免疫機能を抑制させる力が強いため、炎症を抑えたり、アレルギーを抑えたりすることができます。
しかし、裏を返せば免疫を抑制させるため体にとって大きな副作用もあります。
炎症とは、自分を守るための反応であり、体の中に異物が入ってきたら戦うために血管が拡張、透過性が亢進し白血球などが移動しやすいようにしています。
そのため、ステロイドは免疫機能を低下させ、炎症反応を低下させて強力な抗炎症作用を発生させています。
免疫機能が低下することにより、易感染状態になり感染しやすくなり、骨形成が抑制され骨粗鬆症になりやすくもなります。
また、血液を凝固させる血小板が増加しやすくなるため血栓や動脈硬化にもなりやすくなります。
その他に、高血糖や高血圧、精神症状(多幸感、うつ、不眠など)、クッシング症候群様症状など様々な副作用があり、強力な作用があるだけに多くの副作用があります。
臨床の場では患者さんがステロイドを使用するまたは使用している場合は、ステロイドの効果がよく発揮されているか観察するだけでなく、多くの副作用もあるため、小さいことでもよく観察し以上の早期発見に努めることが大切です。
実際使用する場合は、高血糖や高血圧に注意して観察し感染や血栓、骨粗鬆症なども念頭に置いて観察していくことが多いと思います。
強力な薬にはそれだけのデメリットがあると思います。 ではまた。